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中学受験がもたらす“合格以上の価値ある力”とは

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〔2019/02/14 改訂〕

 受験生である生徒たちに「なぜ中学受験をするの?」と尋ねれば、たいていは「いい中学校に入るため」と答えてくれます。「じゃあ中学受験の目的は志望校に合格することだけなの?」と続けて問えば、「将来、立派な人になるため」、「やりたい仕事に就くため」といったさまざまな答えが返ってきます。こうした質問を保護者の方にしても、きっと同じ答えが返ってくるでしょう。子を持つ親なら誰しもが“ご自分のお子様が幸せになることを願って”中学受験をさせようと考えておられると思います。そこには、「中学受験はお子様の成長にとって極めて価値の高いものであり、中学受験を通してお子様にさまざまなことを学び取ってほしい」という思いがこめられているのではないでしょうか。

©Will Spark
木々の芽ばえ

 受験勉強をしているお子様の前には一筋縄ではいかない難題が次々と現れます。学年が上がるほど勉強量も増えていくので、勉強時間を捻出するために自分の好きなことをする時間を減らす選択を強いられることもあります。勉強さえしていれば必ず成績が上がるとも限らず、スランプに陥ることもあります。心が折れそうになっても、志望校に合格するという高い目標に向かって進むためには粘り強く立ち向かう強い精神力が求められます。

 受験勉強に慣れないうちは、思い通りにならずにすぐに投げ出したり苦しい勉強から逃げようと勉強以外のことにしがみついたりするかもしれません。そんな反応は子供であれば普通の行動です。しかし、子どもたちは受験勉強を進める中でさまざまな試練に出会いながらも、自分たちなりに1つ1つの問題に立ち向かう術を学んでいくのです。

てんびん

 もしお子様が自分の問題として中学受験を深く捉えられるように成長していけば、例え今は目に見えて成績が上がらなくても必ず成果は出ると信じて、さらに努力を続けようとすることでしょう。また、なすべき課題量が増えてきたときでも「自分にとって最良の選択は何か」を深く考え、自分の意志で勉強時間を増やしたり、勉強時間を確保するためにテレビを見る時間を減らしたりするでしょう。もし“大切な目的のために他のことを辛抱する”という考え方に気付けば、合格するために好きな読書やお気に入りだった習い事をやめるという決断を下すこともあるでしょう。

 このような真摯な気持ちで中学受験に向かい合うようになれば、お子様にはきっと“自分なりの勉強法”が身に着きます。日々自分と向き合いながら、さまざまな勉強法をヒントにして自分なりの改良を加えながら、自分に最適な勉強法を築き上げるのです。中学、高校、大学と進学し、そして社会人となってからも勉強は続きます。そんなときに自分なりの方法論を持っていることがどれほど素晴らしく心強いことであるかは、説明の必要もないことです。

 さらに強調したいことは、中学受験をすることで自分に適した勉強法を築き上げる経験を得たお子様は、自らの成長とともに自分の勉強法をさらに深化(進化)させることが可能であるということです。中学受験を通して“身に着けたもの”が、お子様が社会で立派に生きていく力の源泉となるのです。お子様が中学受験を通して培った自分の勉強法を創り上げていく能力が、やがてはお子様が一人前の大人として生きていくための基礎となる能力(=リテラシー)につながっていくということです。

©Luxt Design
草の芽ばえ

 親が子に残せるものにはさまざまなものがあります。お金や土地といった財産も貴重でしょうが、教育こそが最も価値あるものではないでしょうか。財産は長い年月を経るうちにその価値が目減りすることもありますが、教育の成果はちがいます。中学受験を通してお子様が身に着けたリテラシーは、一生にわたってその価値が目減りすることなく普遍的な価値を保ち続けることでしょう。それどころかお子様の成長とともにその価値はさらに高まっていくに違いありません。これほど高い価値あるものが他にあるでしょうか。

 中学受験がもたらす“合格以上の価値ある力”とは、受験勉強に真摯に取り組むことでお子様の身に着くリテラシーに他なりません。中学受験では志望校に合格することは大切なことですが、そういうリテラシーを身に着けたお子様だからこそ合格を勝ち取れたという見方ができるのではないでしょうか。

 多くの保護者の方は、お子様が幸せになることを願って中学受験を始めたことでしょう。その最初の思いを大切にして真剣に取り組み続けることが、きっとお子様の幸せを実現し、お子様の人生を豊かなものにすることに繋がると私は思います。

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