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『宿題をどのタイミングやるか』 ~受験勉強の最も基本的なこと~

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〔2019/03/01 改訂〕

 多くの進学塾では2月から新学年の授業がスタートしているでしょう。春休み前のこの時期は新しい学年に進級した直後ということもあって、親子ともにやる気に満ちて過ごされたかもしれません。一方でうまくいかないことも出てきますので、勉強の進め方で悩まれている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、受験勉強の基盤である『宿題の取り組み方』について掘り下げてみたいと思います。

多くの塾では毎週あるいは隔週で授業内容の理解度を確認するテストが行われ、月1回のペースで月例テストが行われます。そして6年生の夏までは、月例テストとは別に年に数回のペースで実力テスト(模試)が実施されるのが一般的です。 これらのテストで安定した成績を残して入試に向けてしっかりと学力を積み上げるためには、宿題を“きちんと”することが何よりも大切です。しかし、成績が伸びなくて悩んでいるお子様の多くは宿題が“きちんと”できず、授業で習ったことがうまく身に着いていかないのです。

湘南海岸の夜明け

 大手塾の多くでは、各科目の講師が他教科の状況を深く考えずに、バラバラに宿題を出しています。科目バランスを考慮して宿題量を加減するようなことはまずありません。1週間ではとても終わらないほどの宿題を出されることも珍しくありません。それにもかかわらず真面目な生徒やその保護者ほど「何とかして出された宿題を仕上げよう」と無理をしてしまうので、学んだことを深く身に着けるという宿題の本来の目的から遠く離れてしまい、宿題が単なるやっつけ仕事(=単純作業)になっている例は少なくありません。範囲が狭く限られた週例テストならまだしも、範囲の広い月例テストや大きな模試になれば、そのような付け焼き刃のような勉強で成果が出せるわけがありません。まして入試となればなおさらのことです。時間も労力も費やして一生懸命に勉強しているにもかかわらず思うような成果が出せなければ、いつかお子様の心が折れてしまっても不思議ではありません。また、そんな状態が長く続けばいずれはお子様だけではなく保護者までもが疲弊してしまうでしょう。

 いったいどうすれば“よりよい状態”で勉強できるようになるのでしょうか? 解決法は決して難しくはありません。宿題に取り組む日を一気に“前へ倒せばいい”のです。具体的には、次の3つの手順に転換すればいいだけです。

  ① 授業のあったその日のうちに、授業で解いた問題を復習する。

  ② 今まで解いてきたのと同じくらいの数の問題を解く。まちがい直しまで必ずする。

  ③ ①と②で取り組んだ問題について、テストの直前(前日)に再確認をする。

 

アネモネ

 ①は、学習の鉄則です。鉄は熱いうちに打てという言葉の通り、勉強の基本は授業の直後に復習することにあります。授業を受けてからの時間が経つほど、授業内容の記憶はどんどん薄れていきます。授業で学ぶ内容のうち、授業中に深く記憶に刻み込まれる内容はごくわずかで、たいていの内容は一時的に記憶しているだけなので、時間の経過とともに忘れ去られていきます。もし学んだものがお子様の嫌いな内容であったり、強い苦手意識を抱えている単元であったりすれば、信じられないほど短時間のうちに記憶が失われていくのです。わずか24時間でほとんど半減すると言っても過言ではないのです。

 ②は、欲ばり過ぎないようにということを伝えたいのです。宿題に取り組むのはいつもテストの直前(前日か前々日)というご家庭も多いのではないでしょうか。早めに取り組まなければならないとわかってはいても、他教科も含めて作業を終えることだけに注意が向けられてしまい、質の吟味が軽んじられていきます。授業から日が経つほど記憶は薄れていくので学習効率は落ちていきます。そのために余計に解くのに時間がかかるという負のスパイラル(悪循環)に陥っているのでしょう。勉強法を変えるだけで劇的な成績の改善が見られるほど勉強は甘くはありません。今まで5~6題をやっつけ仕事でやってきたのなら、まずはその5~6題にまっとうな方法で取り組んでみて、正しい勉強の進め方に慣れていきましょう、という意味なのです。

桜並木

 ③は、あくまでも最後の確認としなければなりませんから、使える時間は15~20分が限度と心得るべきです。それ以上の時間をかければ、結局は元の悪い勉強法に戻ってしまうことになるからです。『主軸となる勉強は必ず授業の直後に行う』という基本を決しておろそかにしないようにしましょう。

 ここでご紹介した勉強法はとても理に適っていますので、私は自信をもってお薦めできます。しかし、実際にやってみればすぐにわかることなのですが、この勉強法を続けていくことがそう簡単ではないことも事実です。少しでも油断をすればいとも簡単にテスト日程に追われる元の悪い勉強法に戻ってしまうのです。テスト直前に付け焼き刃のような勉強をしても意味がないとわかっているのに、なぜ戻ってしまうのでしょうか? 次回は、その理由について考えてみたいと思います。

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