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小6受験生のライバルに差をつける受験戦略(前編)

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〔2019/05/05 改訂〕

 ゴールデンウイーク(GW)が終われば、夏休みまではおよそ10週間となります。カレンダーを見ればわかることですが、夏休みまでの10週間には祝日が1日もありません。毎年この話を生徒にするたびに、生徒たちからは溜め息が漏れます(笑)。まあ、ショックを隠せない気持ちも理解できるのですが、見方を変えればこれはチャンスであるとも言えるのです。それでは、少し先の話ですが、夏休みのことを考えてみましょう。

天の川

 ほとんどのお子様や保護者は、「夏休みになればがんばって猛勉強を始めよう。そうすれば必ず成績は上げられる」と考えているでしょう。しかし、自分だけがライバルよりも抜きん出て成績を上げるなんてことが果たしてできるでしょうか? 実際に思った通りに成績を上げらるお子様はごくわずかしかいないでしょう。なぜでしょうか? それは、夏休みにがんばるのは自分1人だけではないからです。夏休みに入れば、多くの受験生が一斉に真面目に猛勉強を始めるのです。皆が必死になってがんばっている中で自分1人だけがめざましく成績を伸ばすことはとても難しいことです。なぜなら、他人の2倍も3倍もがんばることは現実にはできないからです。

 では、どうすればいいのでしょうか。それは、夏休みが始まる前から準備をしておけばよいのです。もう少し具体的にお伝えしましょう。

 現在、お子様が集中して勉強している時間は1週間に何時間くらいありますか? 塾のある日は塾での勉強時間も含めてください。塾のない日は塾の宿題などをしている時間ですが、学校の宿題など受験勉強以外の勉強時間は含めません。あえて強調しておきますが、集中して勉強している時間とは、机の前に座っている時間ではなく、わき目もふらず一生懸命勉強している時間という意味です。もしも集中して勉強している時間が週あたり30~35時間(平日は4時間、土・日の合計が10~15時間という意味です)あるなら、お子様は極めて優秀であると言えます。しかし、実際は週あたり20時間前後というお子様がほとんどです。机の前に座っている時間の6~7割も集中できていればいい方だからです。

 このような平均的な受験生が、何の準備もしないまま夏休みの初日からいきなり高い集中力を維持して毎日7~8時間(最難関校を目指すお子様なら10時間以上)も勉強を続けるのは至難の業と言えるでしょう。だからこそ、夏休みが始まるまでの10週間の過ごし方が大きな意味を持つというわけです。それでは、具体的な準備の方法に触れていきます。

ネモフィラ

 まず、平日は4時間、土・日は各6時間の勉強を行う計画を立ててみましょう。もちろん、お子様の状況に応じて設定時間はある程度加減しても構いません。夏休みにどのくらい勉強するつもりなのかを基準にして決めてください。これは、お子様が十分に納得した上で決めた通りに取り組むことが目的です。

 やってみればすぐにわかることですが、計画通りに進めることは簡単ではありません。初めのうちは三日も続かないかもしれません。しかし、毎日きちんと時間を確保することを目指して努力を続けることが大切です。うまく進められるようになれば、夏休み前までにはある程度のまとまった時間、集中して勉強できるようになることでしょう。

 この計画を実行に移す際に、特に注意すべきことが1つあります。それは、土日も平日と同じ時刻に起きて同じ時刻に寝るということです。

 生活のリズムはすべての基本ですから、受験勉強を効率的に進めるには毎日の生活がきちんとしていなければなりません。「普段は学校に間に合うように7時前には起きなければならないのに、土日は9時過ぎまで寝ている」とか「土曜の夜はいつもより遅くまで起きている」といった不規則な生活は最悪です。そんなことをすれば月曜の朝に起きるのがつらくなるのは当然です。そもそも寝起きの時間が速くなったり遅くなったりするということは、自ら進んで時差ぼけ状態を招いているようなものです。そんな状態で頭が活発に回るはずがないですから、勉強の能率は著しく低下します。勉強を効率よく進めるためには、寝起きの時刻をきちんと決めた上で、7時間半程度の睡眠時間を必ず確保するという2つのことが極めて大切になるのです。

 こうした規則正しい生活のリズムを身体になじませるには、祝日が一切ない夏休み前までの10週間がうってつけだからこそ、私は「チャンス」だと申し上げたというわけです。

アジサイ

 この続きのお話は後編に続けますが、最後にヒントになるお話をご紹介したいと思います。

 2019年春、およそ18年間にわたってMLB(米国のメジャーリーグ)で活躍し、MLBの歴史を塗りかえる数々の偉大な記録を打ち立て続けてきたシアトル・マリナーズのイチロー選手が日本での試合を最後に引退しました。そのイチロー選手が繰り返し話してきた言葉のひとつに、次のようなものがあります。

「小さいことを積み重ねることが、とんでもないところにいくただ1つの道だ。」

 この言葉は、中学受験を目指すお子様にもきっと当てはまると思います。自分の中でライバルたちよりも少しだけがんばって毎日コツコツと努力を続けていくことこそが、自らの第一志望校に合格する道だということです。

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