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抵抗(電気抵抗)の考え方の基礎

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〔2019/04/02〕

 豆電球と乾電池のつなぎ方と明るさに関する問題の延長線上には、電流・電圧・抵抗の関係を扱うさまざまな問題があります。そこで今回は、抵抗(電気抵抗)に関する基本事項を扱いたいと思います。

 抵抗(電気抵抗)は「電流を妨げるはたらき」のことで、電流の流れにくさと表現することができます。抵抗の大小を左右する要素は、長さ・太さ(断面積)そして材質の3つです。

抵抗と材質

 最初に、材質によるちがいについてふれておきます。金属線の種類と抵抗の大小関係は、右のようになります。もちろん、そのときには金属線の長さと太さを同じにして比べます。

 銅は銀に次いで抵抗が小さい(=電流をよく流す)上に安価であることから、導線にはふつう銅が使われます。また、ニクロムはニッケルとクロームなどを混ぜ合わせて作った合金で、抵抗がとても大きいので電熱線に用いられています。なお、電流の通しやすさの順番と、金属の熱の伝えやすさの順番はまったく同じになります。これも合わせて覚えておきましょう。

 さて、ここからが今回の本題です。抵抗が電流の流れにくさであることは既に確認しました。この抵抗を何百mもの深さの谷にかかった丸木橋だと思ってください。丸木橋というのは体育で使う平均台のような細長い棒を向こう岸へ渡しただけのものです。そんな橋を渡ると考えるだけで足がすくみますよね(笑)。

図1~図3

 図1を基準の回路とするとき、豆電球とかん電池に流れる電流を1とします。このとき、2個の豆電球を直列つなぎにした図2では、豆電球には2分の1の電流が流れるので、かん電池からも2分の1の電流が流れ出します。また、2個の豆電球を並列つなぎにした図3では、豆電球1個に流れる電流は1なので、かん電池からは2の電流が流れ出します。

図4

 これを、抵抗という考え方でとらえ直してみましょう。そこで、豆電球1個の抵抗の大きさを、長さ10m,幅10cmの丸木橋に例えてみます。

 図4-1は、図2(豆電球2個の直列つなぎ)を丸木橋モデルを使って模式的に表したもので、図4-2のように2本の丸木橋をたてにつなぐのと同じことになります。つまり、丸木橋の長さが2倍の20mになるので、丸木橋の渡りにくさ(=抵抗)も2倍になり、電流は半分の2分の1になるというわけです。

図5

 一方、図5-1は、図3(豆電球の並列つなぎ)を丸木橋モデルで模式的に表したもので、図5-2のように丸木橋を横に2本並べるのと同じことになります。このとき、丸木橋の太さが2倍の20cmになるので、丸木橋の渡りにくさ(=抵抗)が半分になり、電流は2倍の2になるというわけです。

 それでは最後に問題です。2個の豆電球を直列につないだ図2の回路を、図4-2とは異なる別の形で表してみましょうというものです。

問題 2個の豆電球を直列につないだ図2の回路の抵抗は、図4-2のように2本の丸木橋をたてにつなぐ形で表すことができます。しかし、この回路の抵抗は元の丸木橋と同じ長さで太さ(幅)の異なる別の丸木橋に例えることも可能です。その丸木橋のモデルを簡単に図で示しなさい。

峡谷












 

図4-3

 図2の回路でかん電池から流れ出す電流が図1の半分の2分の1になるのは、図4-2のように、同じ太さの丸木橋の長さが2倍になれば回路全体の抵抗が2倍になるからです。そこで、元の丸木橋と同じ長さで渡りにくさ(=抵抗)が2倍の丸木橋にするには、太さ(幅)が半分の丸木橋にすればよいことになりますから、答えは図4-3のようになるというわけです。

 ここで利用した考え方は、抵抗の大きさは長さに比例し、断面積に反比例するという基本的なものですが、さまざまな入試問題の基礎となる考え方でもあります。そして、この考え方の応用こそが、多くの中学受験生が苦手とする『直並列回路(混合回路)の電流』を決める非常に有効な“武器”となるのです。どうかしっかり理解して覚えておいてください。

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