中学入試の合否を左右する理科。このサイトでは、中学受験における理科のプロ講師が、理科の計算問題の解法と勉強方法, 暗記の勉強法とその対処法などをわかりやすく解説します。理科の豆知識では、受験に役立つ理科のトリビアを紹介します。
(3) 太陽系の惑星のそろい踏み?!
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〔2018/08/13〕
今年(2018年)の『火星大接近』は15年ぶりの天文イベントということで、テレビや新聞などにこぞって取り上げられました。しかし、注目すべきなのは火星だけではありません。今年の夏は多くの太陽系の惑星が同時に見られる絶好の機会なのです。たとえば、8月中旬の20時ごろに南から西の空が地平線近くまで大きく開けた場所で夜空を見渡すと、同時に複数の惑星を観察することができます。 また、その1時間ほど前の日没直後には、西の地平線近くで明るく輝く宵の明星を見ることもできます。 詳しい位置は、アストロアーツのウェブサイトをご参照ください。
また、今年の12月には水星の観察には最適となる条件がそろいます。水星は最も太陽に近い軌道を公転する惑星なので、ふだんから高度が低く、とても観察しにくい惑星です。 しかし、西方最大離角(太陽から最も西側に離れる)となる直前の今年の12月14日には、東京では日の出の30分前の高度が10度を超え、今年一番の高度になります。 真冬は空気が澄んでいて水蒸気が少ないので、星のゆらぎも小さくなります 。加えて、明るい木星がすぐ近くにあるので水星が見つけやすいことも観察には適しているのです。
このような好条件がそろう年には、そのことに関連したさまざまな問題が入試にも出題されます。そうした問題の中には、これまでに見たこともないような問題も少なくありません。 今回は、その中でも選りすぐりの入試問題を1つご紹介したいと思います。その前に、小手調べとも言える太陽系の惑星の特ちょうに関する知識問題に挑戦してみてください。制限時間は3分が目安です。
【問題1】 次の(1)~(5)で説明された惑星の名まえをそれぞれ答えなさい。
(1) 大気のほとんどは二酸化炭素で、星の表面は非常に高温になっている。
(2) 夜半の明星とも呼ばれ、水素やヘリウムを多く含んだ分厚い大気がある。
(3) 太陽系で2番目に小さな惑星で、標高が約27000mもある高い山がある。
(4) 約88日で公転しながら59日で自転するので、1日の長さは176日と極めて長い。
(5) 太陽のまわりを約30年で公転し、大きな輪は約15年周期で地球から見え隠れする。
※【問題1】の問題および解答・解説は、【問題2】の解答・解説とあわせて別のPDFファイルに収録してあります。
次に紹介するのは、2012年に 鷗友学園の第2回入試で出題された問題 です。この問題は太陽系の惑星が一列に並ぶ現象に関して考えさせる問題で、リード文を読みながら作図を行うことによって解き進める問題です。単に覚えた知識を答えるのではなく、身に着けた知識を応用しながら手を動かして解き進めないと正解にたどりつけないという、極めて秀逸に作られた問題ですのでぜひ挑戦していただければと思います。
なお、今回は問題が長いので本文中への問題の掲載は割愛し、過去に鷗友学園から公開されたPDFファイル(抜粋;B5版カラーで4ページ分)で問題をご紹介いたします。図をかいて考える問題がありますから、ぜひ問題を印刷して解いてみられることをおすすめします。
いかがですか?正しく正解が答えられたでしょうか?
【問題1】は、普段から自分が見聞きしたことに関するさまざまなことがらをきちんと調べて覚える習慣が身についていないと即答するのは難しい問題ばかりかもしれませんね。
一方、【問題2】は「月の満ち欠けと動き」に関する応用問題です。月の満ち欠け(形の変化)を単なる暗記事項としてとらえていては、こうした問題を考えることはできません。 “事象の原理やしくみを科学的にしっかりと理解しておく必要がある”というのがこの問題からのメッセージなのです。身の回りで起きているさまざまな科学的事象について、“常に好奇心を持ってアンテナを張りめぐらせ、興味の目を向けておく必要がある”ということも、もう1つの大切なメッセージであることは言うまでもありません。
それでは、ここでは【問題1】の【解答例】のみ挙げておきましょう。
【問題1】(1) 金星 (2) 木星 (3) 火星 (4) 水星 (5) 土星
【問題2】の解答・解説は、下のPDFファイルをご参照ください。こちらには【問題1】の問題と解答・解説もあわせて載せてあります。