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なんてスペシャル!?

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〔2018/09/12 改訂〕

 さて、今回はいきなり【問題】からのスタートです。

【問題】1885年のウィーン万博で、その栄養価の高さから「畑の肉」というキャッチフレーズで日本が出品したこの食品は、ヨーロッパ中から注目されました。植物性タンパク質,ビタミン,ミネラル,食物繊維(せんい)などを豊富に含むこの食品はいったい何でしょうか?

 ちょっと難しいですか? では、もう少しヒントを出しましょう。

枝豆 黒豆

 この食品は、日本では昔から醤油(しょうゆ),味噌(みそ),納豆,豆腐(とうふ)などの原料として使われています。これをひいて粉にしたものが「きな粉」です。また、お節料理の「黒豆」も夏の味覚の「枝豆」もこの食品です。




 もう、わかりましたね? そう、ダイズ(大豆)です。

 今回のテーマに選んだダイズは英語でソイビーン(soybean)といいます。ソイ(soy)というのは醤油,ビーン(bean)は豆という意味です。つまり、醤油をつくるときに使う豆ということが語源なんですね。

 ダイズにはタンパク質が豊富に含まれています。皆さんの中は、お肉の代わりに豆腐を使った「豆腐ハンバーグ」というものを聞いたことがあるかもしれません。上手に作れば、本物のお肉で作られているように感じるほどです。これが「畑の肉」と呼ばれる理由です。こんな話を聞くと、 「豆の仲間にはタンパク質が豊富に含まれているんだな」と思うことでしょう。それでは食品成分表を確認してみましょう。

食品成分表

 ここで注目してほしいのは栄養分の割合です。アズキ,インゲンマメ,エンドウ,ソラマメの4種は、いずれもデンプンの3分の1~半分ほどしかタンパク質が含まれていません。ところがダイズはデンプンよりもタンパク質の方がずっと多いのです。同じマメ類の中で、いかにダイズが特別であるかということがよくわかりますね。

 実はラッカセイもタンパク質の方が多いのですが、ラッカセイには多量の脂肪(油)もふくまれているので、食べ過ぎると肥満の原因になりかねないのです。

ユーグレナ

 このように、ダイズは豆類の中だけにとどまらず、他のどんな食べ物と比べても“スペシャル(特別)な存在”なのです。自然界でこれほど栄養バランスのとれた食品はないでしょう。

 しかし近年、このダイズに匹敵するバランスのとれた栄養素をふくむ食品が発見されました。それは・・・・右の図の生物です。名前はもちろん答えられますね? そう、答えはミドリムシです。 栄養バランスがよいという知識が入試で問われることはおそらくないでしょうが、べん毛という体を動かすつくりをもつ植物プランクトンとして必出の生物です。きちんと覚えておきましょう。


【注意事項】中学受験用の問題集の中には、種子の栄養成分の割合を表や円グラフなどで示した上で、その割合がダイズと同じものを選ばせる問題が載っていることがあります。 上の食品成分表を見ればわかるように、豆類の中には、ダイズ以外でタンパク質が最も多く含まれるものはありませんから、答えがエンドウやソラマメなどになることは絶対にありません。 誤ったことを覚えないようにくれぐれもご注意ください。

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