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かくし方が大切?な光電池
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〔2018/12/15 改訂〕
前回は光電池のつなぎ方についてお話しましたが、それに関連して、今回は光電池のつくりに関する話をしてみましょう。
光電池を使った実験では、光電池の一部を厚紙でかくしてモーターの回転数が減ることを確かめることがあります。このとき、光電池のかくし方には、図1と図2のような2通りの方法があります。ところで、図1と図2のどちらか一方のかくし方をすると光電池から電流が流れなくなってモーターの回転が止まってしまう場合があることを知っていますか?
光電池の基本単位を「セル」といいます。1つのセルが発生する電圧は小さいので、光電池はいくつかのセルを直列つなぎにした上で、セルを保護するための透明なプラスチックのケースに収められています。これを「モジュール」といいます。例えば、小学校の実験で使われる光電池モジュールは、かん電池の電圧(1.5V)とほぼ同じ電圧が発生するようにするため、3つのセルを直列つなぎにしてあります(実際にはかん電池よりも少し高くて1.7V前後です)。
さて、このモジュールの一部を図1のようにして厚紙で半分ほどかくしたとしましょう。この場合、どのセルにも一部分には日光が当たるのですべてのセルで電流が発生します。そのため、モジュールからは弱くても電流が流れます。
それでは、モジュールの一部を図2のようにしてかくしたときはどうでしょうか。この場合は、ある1つのセルにはまったく日光が当たらなくなり、そのセルでは電流が発生しなくなります。電流が発生しないセルは大きな抵抗となってしまうために、3つのセルを直列つなぎにしてあるモジュールからは電流が取り出せなくなってしまうのです。
このようなセルとモジュールの関係や性質を小学校の授業で習うことはありません。しかし、光電池を半分かくすとき、かくし方によって電流の流れ方が変わるという事実は、実際に実験をやった人にしかわからないことです。最近の中学入試では、実験に基づいた知識がよく出題されます。こういう教科書に載っていないような知識も、入試では大きな武器となるのです。そして、何よりも重要なことは、このような知識を1つ1つ身に着けていく過程を大切にしていくことで、理科の世界はどんどんと広がっていくということなのです。