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月の満ち欠け(2) ~半月の動きを理解しよう!~
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〔2020/05/03〕
前回は、月の満ち欠けは「月と太陽の位置関係がわかれば理解できる」ことを説明しました。そして、太陽と月と地球が一直線上に並ぶときに見られる、最も基本的な月である満月と新月の動きを紹介しました。そこで今回は、2つの半月の動きを考えてみましょう。前回もお伝えしたように、月の動きと満ち欠けを理解する上で最も大切なことは月をきちんと観察することです。
半月には上弦の月と下弦の月の2種類があります。次の図は、これらの半月が南中したときのようすを模式的に示したものです。
左の図のように、南中したときの上弦の月の右側(西側)半分が光って見えるのは、太陽が月の右側(西側)にあるからです。太陽が西の地平線上にくるのは日の入りのときですから、上弦の月は夕方に南中することになります。また、上弦の月が見えるとき、太陽はいつも月の右へ90度はなれた所にあります。したがって、上弦の月が東の地平線上に出たときに太陽は南中していることになり〔月の出は真昼〕、月が西の地平線の下に沈むときに太陽は地球の裏側にあることになります〔月の入りは真夜中〕。
一方、右の図のように、南中したときの下弦の月の左側(東側)半分が光って見えるのは、太陽が月の左側(東側)にあるからです。太陽が東の地平線上にくるのは日の出のときですから、下弦の月は明け方に南中することになります。また、下弦の月が見えるとき、太陽はいつも月の左へ90度はなれた所にあります。したがって、下弦の月が東の地平線上に出たときに太陽は地球の裏側にあることになり〔月の出は真夜中〕、月が西の地平線の下に沈むときに太陽は南中していることになります〔月の入りは真昼〕。
(保護者の方へ)
「月の動きと満ち欠け」は多くのお子様が苦手とされる単元です。そのため、分かりやすそうに見える表などを覚えさせる指導が多く行われています。確かにテキストの基本的な問題なら、そうした表の暗記で対応できるかもしれません。しかし、それは本当の意味で「月」を理解したことにはならず、問題のレベルが上がれば対応できなくなるでしょう。平易な問題を解いているときにこそ原理を確実に理解する努力が求められるのであり、難関校になるほど、そうした原理の理解にこだわった出題がなされるのです。
月は単なる暗記で解く単元ではありません。どうか、多少の時間はかかっても暗記のみに頼るのではなく、満ち欠けや動きの原理をきちんと理解する努力を続けていってください。