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月の満ち欠け(3) ~月はうまれてしぬ?! 三日月の考え方~

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〔2020/05/07〕

 これまで2回に分けて、満月・新月・上弦の月・下弦の月について説明しましたので、今回は三日月の考え方について説明します。最初に、月の満ち欠けの順番を復習しておきましょう。

 北半球にある日本から観察すると、月は右側(西側)から満ちて、右側(西側)から欠けるように見えます。次の図は、月が満ち欠けするようすを順に並べたものです。よく見る図ですね。

月の満ち欠け

 月の満ち欠けの順番は、「月はうまれてしぬ」と覚えるといいでしょう。 うし 漢字ではなくひらがなです。文字と月の形に注目してください。右の図のように、という文字は三日月のように右が丸くふくらんで見えますね。逆には27日の月のように左側が丸くなっています。新月のあとに三日月が「うまれ」ます。そして、丸々と太った満月になったあとは逆にやせていき、やがて細い27日の月になってから再び新月にもどる(しぬ)というように覚えるわけです。

 ところで、南半球の国々から月を見ると、満ち欠けの順番はどうなるのでしょうか? 南半球も北半球と同じように月は西側から満ち欠けするのは同じです。しかし、南半球では、月は北の空に向かって上っていきます。したがって、月は左側から満ち欠けすることになります。東西は同じでも、左右は逆になることを覚えておきましょう。

 それでは、本題である『三日月の動き』に話を進めましょう。三日月も他の月と同じように「月と太陽の位置関係がわかれば理解できる」ことに変わりはありません。右側(西側)が少しだけ光って見えるのは、新月のときとちがって、太陽が少しだけ月の右側にずれているからです。しかし、この考え方は月を苦手にしている受験生には少し難しいかもしれません。

三日月の考え方

 そんな受験生に役立つのがの右の図のような考え方です。この図は、夕方(太陽が西の地平線の下に沈んだとき)の月のようすを示しています。例えば、新月なら太陽と同じ方向にありますし、上弦の月ならちょうど南中していることになります。三日月は、新月と上弦の月の間に見られる月ですから、大ざっぱに考えると右の図のようになるというわけです。この考え方は、半月以外のさまざまな月の動きにも応用できます。


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三日月と地球照

 さて、もう少し三日月に関するお話を続けましょう。

 右の写真は三日月を写したものですが、ずいぶん細いと思いませんか? しかし、これがふつうの三日月の形です。

 皆さんの多くは、もっと三日月は太いと教わっているでしょう。それは、多くの塾の理科の先生が「三日月の月齢を3だと思いこんでいる」のが原因です。しかし、三日月を辞書で引いてみてください。そこには陰暦(旧暦)三日の夜に出る細い弓形の月、またはその前後の月齢の若い月というような説明が書かれています。陰暦(旧暦)とは昔の日本で使われていた暦で、月の満ち欠けを基準した暦です。陰暦一日は必ず新月(月齢0)です。また、陰暦十五日は必ず満月です。満月を"十五夜の月"と呼ぶのは、これが理由です。三日月は陰暦三日に見られる月なので、月齢は2となるのです。なお、陰暦三日の前後の若い月も三日月ですから、月齢3の三日月もあります。このように、三日月の月齢にはある程度の幅があります。つまり、三日月には厳密な定義がないとも言えるわけです。

 上の図では、三日月は太陽から約30度はなれていると書いています。実際、写真の三日月は約25度しかはなれていません。皆さんが塾でよく見る45度はなれている図は、実際の三日月とは明らかにはなれすぎていることを知っておいてください。


 それでは最後のお話です。上の三日月の写真では、月のかげの部分がうすく光って見えるのがわかると思います。なぜ真っ暗ではないのでしょうか? この現象は、新月をはさんだ数日間、地平線のすぐ下に太陽があって、空が十分に暗くなったときによく見ることができます。

 これは地球照と呼ばれる現象です。地球に当たった太陽の光が地表や大気で反射するので、その光が月面を照らしてかげの部分も少し明るく見えるわけです。地球照が肉眼でよく見られるのは新月の前後に限られます。三日月や27日の月の頃は、月から地球を見ると地球のほとんどの部分が太陽に照らされているので、月面に多くの光が反射するので肉眼でもよく見えるわけです。しかし、上手に明るさを調整して撮れば、半月の写真でも見ることができます。


(保護者の方へ)

 日光が月の真横から当たっている半月と異なり、日光が月にななめから当たっている三日月のような月の動きや満ち欠けを理解するのは大変です。今回ご紹介した考え方は、月を習いたての4年生でも納得できる考え方だと思いますので活用してみてください。また、地球照を観測する際は、事前に国立天文台の暦象年表(開いたページから年を選ぶ)や暦要項などを調べてから観測されるといいと思います。

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