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小分けにせずに覚えよう!

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〔2018/12/5 改訂〕

 『50項目の生物の名前と分類を1週間で覚えなさい。』という宿題を出したとしましょう。するとお子様は、1日に10個ずつ5回分に“小分け”にして覚えようとするのではないでしょうか? 例えば、1日目に最初の10個,2日目には次の10個,・・・・という具合に“小分けにして” 覚えていき、最後の2日間で50項目すべてを確認するというような計画を立てていませんか? もしかしたら、保護者の方がそうやって覚えなさいとおっしゃっているかもしれませんね。もし暗記の課題が50項目ではなく60項目の暗記だったとしても、やはり毎日10個ずつ覚えることは変わらず、おそらく最後の“通し確認”が1日だけになるのではないでしょうか。

 しかし、ちょっと考えてみてください。この方法では1日目や2日目に覚えたことは6日目になるまで一切復習をしないということになります。たとえ取り組んだ当日は完璧に覚えていたとしても、翌日以降に次々と新しいことを覚えていく間に最初にやったことを忘れてしまうのではないかとは思いませんか? 1週間で覚える数が50個ではなく60個のときは最後の“通し確認”を1回だけしか行わないわけですから、最初に覚えたことを忘れてしまう可能性はさらに高まると言えるでしょう。 では、いったいどうすればいいのでしょうか。

  『 小分けにせず、毎日、全部に取り組む 』

 これが正しい方法です。最初の数日間はどのくらい覚えているかを気にして数えたりせずに、 “50個(あるいは60個)全部に目を通すことに専念する” のです。「もっと多くのことを覚えるときは?」という疑問があるかもしれませんが、初めて学ぶことを「1週間に200個も300個も覚えなさい!」などと言われることはないはずですから心配いらないでしょう。

緑の滝

 最初のうちは覚える内容を音読しながら裏紙などに鉛筆(ペン)で文字を書いて覚えるのがいいでしょう。 声に出して読み上げながらそれを耳で聞き、自分の手を動かして文字を書きながらそれを目で見て覚えるというように、味覚以外のすべての五感を使って覚えるのです。

 3日目以降も基本的にやることは同じです。何回も繰り返すうちに少しずつ自分の状況が見えてきます。うまく覚えられないものには設問の横などに鉛筆で×印をつけましょう。何回やっても覚えられないものには×がたくさんつきますが、そうしたものも重点的に何度も繰り返すようにしていけば覚えられるでしょう。うまく覚えられたら×印を二重線で消すなどしていくと、暗記の過程の履歴も残せます。このようにして毎日50個全部に取り組みながら×を○に変えていく努力を続けていけば、50個や100個程度ならきっとすぐに覚えられるようになるはずです。

 人が集中力を維持できる時間はそれほど長くありません。もしお子様が「一度に50個も目を通すのは無理!」という場合は分割してもいいでしょう。間に5分程度の算数の計算練習を挟み込むなど目先を変える工夫をしながら取り組めばいいのです。このような短時間に集中して勉強する練習をすることは、隙間時間を有意義に使う練習にもなりますこうした練習を4・5年生の間から取り組んでおけば入試を間近に控えた6年生の秋以降の学習時間の確保に大いに役立つことでしょう。なお、一度に数十程度の項目を暗記できるようにする練習は、4・5年生の間にしておくべきでしょう。こうしたスキルの有無は入試直前の追い込みができるか否かに強く影響してきます。


 最後に、多くのお子様が無意識にやってしまっている残念な暗記の方法についても触れておきましょう。それは“椅子に座ったまま、黙読しながら覚える”というものです。誤解のないようにつけ加えれば、この方法では暗記ができないというわけではありません。 中には「書きながらやるとちっとも進まないから嫌だ!」と強く言い張るお子様もいますから、音読だけで始めても構いません。ただしその場合は、椅子に座ったままやるのではなく、立って部屋の中をグルグル歩き回りながらやることを強くおすすめします。部屋の中を歩き回ると体内の血流量が増加するので、脳の血流量も同時に増加します。その結果、脳が活性化されるので暗記がしやすくなるのです。また、入試や模試などのテストでは答案用紙に答えを書く作業は不可欠ですから、暗記の学習において書く勉強をしないことはあり得ないのです。したがって、「字を書くのは面倒!」などと言うお子様の“わがまま”は戒めておく必要があるでしょう。そして文字を書いて解答していく際に“漢字”の誤字や当て字が不可であるのは当然ですが、止め・はね・はらいなども細かい部分までチェックされると思っておく必要があります。最近では、タブレット端末等を利用して中学受験に対応した教材を演習する通信添削なども見られますが、前述した漢字の細かい表記にまでは対応できていません。タブレット端末での受験勉強にもこうした限界があることは知っておいてください。

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