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皿回しの理論

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〔2018/12/18 改訂〕

 「せっかくがんばって覚えても、すぐに忘れてしまう」 一度や二度はそんな気持ちになったことがある受験生もいるでしょう。それどころか、必死で覚えたにもかかわらず知識がちっとも記憶に残らないことが原因で心が折れてしまい、受験勉強を続ける意欲すら失ってしまう受験生まで出てくることもあるのです。しかし、ちょっとやり方を工夫するだけでそんな憂き目に遭わなくてすむようにできるやり方があるということで、前回は栓のない浴そうに水を溜める?というお話をいたしました。今回はそれに続けて、“忘れる前に覚え直しをする必要がある”というお話をいたしましょう。

ピエロ

 大道芸人がよくやる皿回しというものをご存知ですね。同時に何枚もの皿を細い棒の上で回すというものです。棒の上で回る皿は“ある程度”以上の勢いがあれば安定的に回りますが、皿が回る勢いが弱いとどんどん不安定になり、やがて皿は落ちてしまいます。そのために皿回しでは、1枚目の皿を回したら続けてすぐに2枚目を回し、さらに3枚目を・・・・。しかし、4枚目を回す前に棒の先で不安定に揺れ始めた1枚目と2枚目の皿に新たな回転を与えて、先に回した皿が回転不足で落ちないように注意しなければなりません。

 つまり、大道芸人たちが何枚もの皿を回し続けられるのは皿の安定が失われるよりもずっと前に皿に新たな回転力を与えておき、皿の安定を保ち続けているからなのです。いくら熟達した彼らでも、何枚もの皿が同時に勢いを失えば皿を回し続けられなくなるのは当然です。だからこそ、皿が落ちるずっと前に“短時間で簡単に”皿の勢いを増しておくのです。こうした“メインテナンス”を的確に行う経験と技術こそが皿回しの大道芸の極意と言えるのです。

グラフィック

 もうお分かりだと思いますが、受験勉強も皿回しもうまくやるための理屈は同じです。いくら一生懸命に知識を覚えたとしても、それで安心してメインテナンスを怠れば栓のない浴そうから水が流れ出すように記憶は失われていきます。皿回しの例え話からもわかるように、完全に忘れ切ってしまうと再び一から(ゼロから?)覚え直すのはとても労力がいることです。だから完全に忘れ切るよりもずっと前に、前もって覚えた内容のチェックとメインテナンスを行うことで、多くの知識を覚え続けることができるようになるのです。

 つまり暗記の極意とは、最悪の事態を事前に想定した上で、その状況に適切に対応できるよう前もって準備をしておくことというわけです。どれだけ一生懸命に知識を覚えたとしても、使わない知識をずっと覚えておくことは困難です。しかも、一度忘れてしまえば覚え直すのにはまた長い時間が必要となります。だからそうならないようにするため、不安定にゆれ始めた皿にちょっと回転を加えれば再び安定して回り続けるように、短い時間を使ってチェックとメインテナンスを行いましょう。準備というのは、このような正しい習慣を身に着ける行動なのです。


〔copyright:ピエロ ©avaxhome.ws  グラフィック ©lanrentuku.com

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