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新6年生の受験勉強(3) ~まずは9月を目指して~

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〔2019/02/07 改訂〕

(1) なぜ9月を目指すのか

 前回も触れたように、9月に入ると公開模試が始まります。多くの受験生および保護者は模試の成績から算出される志望校の合否判定データに基づいて受験校を絞りこんでいかれるのです。もしも秋までに基礎が固まらず、各自の志望校のレベルに応じた学力が身に着いていない状態で模試を受験することになれば、いったいどうなるでしょうか。成績がふるわないわけですから、判定も決して満足いくものにはならないでしょう。それどころか、受験校の絞りこみや決定という重要な決断を、本人の実力が正しく発揮されていない成績データを使って行わなければならなくなるのです。保護者だけではなく塾などの指導者でも今後の成績の伸びを的確に予測することは容易ではないので、不確定な要素をはらんだまま受験校を決定しなければならないという事態に陥るわけです。こうしたことを避けるためにも、9月から始まる公開模試に備えて、ある程度の学力を身に着けておく必要があるわけです。

新緑

 もちろん、ご自分のお子様だけがそんな状況に陥るわけではありません。程度に差はあっても、多くの受験生が似たような状況に置かれたまま受験校を決めることを強いられることになるのが実情です。それでも、少しでも安心できる材料を持った状態で入試本番に臨みたいと思うなら、夏休みが終わるまでに各自の志望校のレベルに応じた応用力をある程度まで培っておく必要があると考えておくべきなのです。


(2) 過去問演習に取り組むためにも

 秋になったらいよいよ過去問演習を始めなければなりません。では、いったいいつから始めればいいのでしょうか。私は、9月に入ったらすぐに始めることを強くおすすめしています。まだ志望校が確定してないのでどの学校の過去問を解けばいいかわからない、あまり早くから過去問を解いても自信を失うだけかも、といった理由から過去問演習を始める時期を遅らせることはおすすめできるものではありません。

 模試の成績が多少悪くても、志望校の入試問題とは相性が良くてそれなりの点数がとれることもあります。また、入試問題に真剣に向き合うことでお子様が自分の認識の甘さに気づき、受験勉強に真剣に向き合うようになるといったメリットもあります。もちろん逆の効果を生むこともありますが、それは取り組んでみなければわからないことです。

クローバー

 少し計算してみましょう。1回(1入試回)分の過去問を4科目解くだけで約3時間は必要です。1次と2次の2回分なら6時間かかります。第1志望校なら最低3年分、できれば5年分は解きたいですね。それなら18~30時間が必要です。第1志望校に加えて第2・第3志望校も3年分ずつ解きたいなら、さらに時間が必要です。しかも、これは問題を解くのにかかる時間だけで、採点して得点を出し、解けなかった問題の解き直しや解法の再確認を行ったり先生に質問したりしなければなりません。そのために必要な時間は、最低でも1回あたり2時間は必要でしょう。過去問を解き始める時期が遅くなると、これだけのことをする時間が取れなくなります。だからこそ、過去問演習は早めに始めた方がよいのです。

 最後に、別の視点からも見てみましょう。先ほども少し触れましたが、公開模試の問題と各自の志望校の問題はまったく違うものです。出題様式も問題の中身も全然ちがいます。自分が受験する学校の入試にはどんな問題がどのような形式で出題されているのかを早い時期から知っておくことに何のリスクもありません。「もっと実力がついてから過去問に取り組みたい」と考えられる方の中には、過去問を合否の可能性を占う模試の代わりに使いたいという意識があるのではないでしょうか。だから事前に問題を見ることの弊害を危惧されているのだと思います。春先の今の時期に過去問を眺める程度で入試問題を細部まで覚えられるほどの記憶力があるなら、この約1年間でどれほど学力が向上することでしょう。残念なことですが、問題を覚えてしまうかもという心配は杞憂に過ぎません。ですから、ぜひ今の時期にお子様と一緒に受験を検討している学校の入試問題を眺めてみてください。気になった問題があるならコピーを取って真剣に解いてみるのもいいでしょう。そうした試みはお子様が受験勉強を進めていく上でのモチベーションの向上につながるでしょう。

 第一志望校の合格を確実に掴むためにも、9月から過去問演習を本格的に始められる基礎学力と応用力を身に着けておきたいものです。目安は過去問で5割を超える得点ができる状態です。これから1年の学習計画を立てるときに9月をメドにすべきなのは、このような理由があるからなのです。

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