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新6年生の受験勉強(4) ~本当に「理科は追い込みがきく」のか?~

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〔2019/02/07 改訂〕

(1) “追い込みがきく”とはどういう意味か?

 そもそも“追い込みがきく”とはどういう意味なのでしょうか? 例えば、「短時間で何回か繰り返して勉強すれば約8割が入試で役立つようになる状況」と定義してみましょう。さて、短時間とはどのくらいの時間でしょうか? 約8割とはどういう意味でしょうか? 先生は「テキストに載っている問題の8割」と思っていても、それを聞いた皆さんは「入試に出てくる問題の8割」と思うかもしれません。

 いきなりわかりにくい問答のようなことを申し上げてすみません。ただ、私がここで言いたいことは、“追い込みがきく”という表現は極めて曖昧な表現であるということなのです。同じ言葉を使っていても定まった意味があるわけではなく、それぞれが自分に都合よく(耳心地のよい、不安を和らげるような意味で)解釈しているに過ぎないということです。


(2) 本当に「理科は追い込みがきく」のか?

 「理科は追い込みがきくから、今の時期は算数・国語をしっかりやりましょう」という言葉を耳にされたことはあると思います。確かに受験勉強においては、算数と国語の学習が重要であることは言うまでもありませんが、著しく科目バランスを欠いた学習を行うことは、非常に大きなリスク要因となることも事実です。

新緑のブナ

 もう少し具体的に申し上げましょう。お子様の志望校の理科の入試問題をご覧ください。

 秋まで算数と国語に集中したとして、秋以降に理科を本格的に始めて入試に間に合うような問題に見えますか? 「算・国さえしっかり得点できれば、理科の得点が多少は低くても合格できる」という話も耳にしますが、今のペースで勉強したとして本当に秋までに算数・国語で理科のマイナスをカバーできるだけの余裕(アドバンテージ)が確保できますか?


 確かに“算数や国語と比べれば”理科は追い込みがきくと言えるでしょうが、それは単なる比較の問題に過ぎません。何の準備もしていないのに、入試が近づいてきてから勉強すれば理科ができるようになるなどという夢のような話は決してありません。それどころか、もしも秋になっても算数や国語の成績が理科の落ちこみをカバーできるほど伸びていなければ、理科の追い込みをかけるどころの話ではなくなります。これまでと同じように引き続き算数と国語に取り組みながら、今までほとんどやらなかった理科を必死でやらねばなりません。その上、秋からは過去問演習も始めなければなりません。これだけの勉強が果たして可能でしょうか? いずれはやらねばならないことを後に回すことには大きなリスクが伴うという事実を決して小さく見てはならないと私は思うのです。

 では、やはり理科は追い込みがきかないのでしょうか? そんなことはありません。追い込みをきかせたいのなら事前に必要な準備をしておく必要があるのです。適切な準備さえ整えておけば追い込みをかけることは可能です。次回はその方法についてお話ししましょう。

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